ハードマンズ・リネンとの出会い
私どもは今年で創業133年を迎えます。寝具を商う仕事をしていながら、リネンというものを明快に意識したのは2000年頃、今から20年ほど前でヨーロッパの展示会に行きだしたころからです。ロンドンを旅していて、イギリスにはアイリッシュリネンという高品質のリネンがあるというガイドブックの記事が最初かもしれません。
地元に近江ちぢみ、近江上布という産地がありながら、麻というのは夏に使う高級素材である・・・ぐらいにしか思っていませんでした。ラミー(苧麻)とリネン(亜麻)の違いも知らなかったぐらいで、今から思えば恥ずかしい限りです。
最初はシーツやピロケースから、そして、リネンのシャツやジャケットを使い始め、リネンの気持ちよさに魅了され、そこからのめり込みはじめました。地元、近江に麻生地のメーカーや麻わたを加工するメーカーがあることから、夏向けに麻の敷パッドをオリジナルで作り始めました。
帝国繊維さんが扱っていたクラブ・ハードマンの品質の高さ、当時60番手で掛カバーが33,000円していたと思います。それがアイリッシュリネンとの出会い。それを値頃に提供しようと思って、帝国繊維さんに作っていただいた60番手リネン麻生地が、今日、私どもハードマンズのアイリッシュリネンを揃える始まりです。
アイリッシュリネンの真実
アイリッシュリネンがリネンの最高峰であるということは聞いておりましたが、本来のアイリッシュリネンは本家アイルランドには、すでに無くなっているのだという事実は衝撃的でした。アイリッシュリネンギルドに参加する会社はありましたが、かつてハードマンズ社が生み出していた細番手で高品質のリネンはアイルランドでは失われてしまっていたのです。
一方、フレンチリネンという名前で、ユニクロなどアパレル企業が安価なリネンのシャツを作り始めました。一体なにが、どう違うのか。原料なのか、紡績なのか、製織なのか、その答えを求めていきました。良いリネンを求めて、リトアニアの工場へ訪ね、フランス・ノルマンディーのリネン畑でリネンの花と出会い、ハードマンズの技術を継承する中国の紡績工場、その糸を使って織る日本の機屋さんを訪れて、それぞれの現場で見て、聞いて、体感してきました。
こうして、今日オリジナルで手がけているのが、アイリッシュリネン80、アイリッシュリネン100という細番手で軽量な生地です。
本物に辿りつくための毎日
世界を回って感じたのは、「本物は一朝一夕ではない」「本物は手間がかけられている」ということでした。これは、羽毛や羊毛などの天然素材を訪ねた時と同じです。
このサイトはそのことを知っていただきたく制作いたしました。
眠りのプロショップSawada店主(創業 明治23年)
株式会社沢田商店 代表取締役 沢田昌宏
リネン麻や日本のリネンの歴史について
日本麻紡績協会のWEBサイトは機関誌やリネン・ラミー・ヘンプなどの情報が多くあります。
帝国繊維さんのWEBサイトに、「リネンものがたり」というコーナーがありますご一読をおすすめします。
帝国繊維さんの新しいリネンのサイトには、2014年に訪れたTERRE DE LINや フランスの高級リネンメーカーSafilin(サフィラン)社の紹介があります。当社はSafilin社の取扱いは間接的にしかありませんが、Safilin社の考え方は、ハードマンズリネンと同じです。つまり「良い織物には良い糸が必要で、その為には良い原料が要るということ、さらに良い原料を得るためには品種、栽培、選別などを正しく行う必要がある」 高級リネンとはどういう考え方で作られているかを知るには良い内容です。