フランス・ノルマンディー リネンの畑を訪ねて 2014.6

リネンを訪ねて

2014ノルマンディー TERRE DE LIN

2014年6月 フランス・ノルマンディー地方のTERRE DE LINという会社に訪問してきました。ここは600軒のリネン(フラックス)農家から収穫されたフラックスの草をスカッチングという方法でリネンファイバーを取り除く作業、あるいはさらにもう一段進んでスライバーという原糸に近い状態まで加工して、紡績工場へ出荷している会社で、併せて品種改良なども行っているフランスでも最大級の会社です。

リネン糸の原料ができるまで

1年に一週間しか咲かない可憐なフラックスの花をめざして

リネンとはフラックスという草から採れる麻の繊維です。日本の麻は苧麻(ラミー)と呼ばれるのに対し、亜麻と呼ばれるシルバーグレーの麻でラミーに比べるとソフトな手触りです。このリネンの花は6月の時期に1週間ほどしか咲かないといわれ、その開花をめざしてフランスへ旅立ったのです。

パリから北西へ、途中でモネのジヴェルニー村へ立ち寄って、ノルマンディーへ向かいます。ちょうどサッカーワールドカップの時期で、サンヴァレリーコーの街もサッカー一色でした。

ジヴェルニー モネの睡蓮の池
ノルマンディーの海岸
ノルマンディー サンヴァレリーコーの街にある教会
マリアのステンドグラスが非常に美しい

フラックスの栽培はフランスが圧倒的に多い

ここで、リネンの原料となるフラックスは、ほとんどがフランス・ノルマンディー地方からベルギー・オランダで栽培されています。産出量の8割は中国へ、残りがベルギーなどの紡績工場へ送られます。

天然素材であるリネンには当然良し悪しがあって、そのグレードは10段階に分けられます。つまりフレンチリネンといっても品質には10段階の差があるということですね。よく「フレンチリネンを使っています」というキャッチフレーズを聞きますが、フランス産であることは当たり前で、本当はその中での良い品質のものを選ぶことが大切だということです。どうも我々日本人はフランス産に弱い。

7月になると実がなり、このように刈り取られます(厳密には引き抜くのだそうです)。レッティングといい、刈り取られたフラックス草はそのまま1月~1月半ほどそのまま地面に置いたままにするのです。リネンの繊維は中から取り出すので、表皮を乾燥させて取り出しやすいようにするためだと聞きました。

リネンの歴史や栽培についてレクチャーを受ける
レッティングが終えて集められたフラックス草

その状態で畑から回収されたフラックス草から、茎の外の部分を取り去って、リネン麻の繊維を取り出す最初の工程がスカッチングと呼ばれます。

スカッチング 外側をばらして中の繊維を取り出す
スカッチングされて取り出されたリネン繊維 この段階で選別がなされる
良質なリネン
低品質なリネン 主に綿などと混紡されたり、太番手に使われる

このような状態になって紡績工場に送られますが、ここに至るまでの工程で、品質の良いものとそうでないものが選り分けられるのです。

この時点でリネンファイバーの多くは紡績会社に向けて輸出されます。中国が80%ということですから、実際パンフレットなども英語以外は中国語でした。

ハックリング(繊維を梳く)も行われている

さらに一部のものはカーディング工程で、ハックリングを行い、スライバーと呼ばれる糸にする一歩手前のところまで行われて出荷がされます。

ハックリング
何回も梳くことで、短い繊維やゴミを取り除く
スライバー これから粗紡糸を作り、精紡糸となる

検査室でファイバー長などをチェックする

検査室ではリネンファイバーの長さや質によって等級にわけられるのです。

検査室 グラフはファイバーの長さの分布

研究用畑で行われる品種改良

マザー農場では多くの品種のフラックスが植えられていました。交配を行いながら8万種におよぶ品種改良を行っているということです。フラックスは非常に土地の力を奪ってしまうので、6年に一度しか植えることができません。そうしないと品質が劣化してしまうのです。残りの5年間は他の作物をうえるということで、地平線までリネン畑が続くわけですが、その管理はなかなか厳しいものだということを改めて感じさせられました。

TERRE DE LINのスタッフの皆さんと

一口にフレンチリネンといいながらも、その全容がはっきりわからなかった訳ですが、昨年のリトアニア・シウラス社の訪問と合わせて、一本の線につながりました。

おそらく日本の小売店で訪れたのは初めてでしょう。出荷先はヨーロッパ、そして多くが中国とのことなので、私のような店ではビジネス的にも影響は全くないのでしょうが、同行者に恵まれたこともありフレンドリーに対応していただいたBlosseville社長はじめスタッフの皆さん、アテンドをしていただいたビラベック社に感謝をしたいと思います。

おそらく、最初で最後の機会になるでしょうが、ちょうどいい具合にリネンの花が咲き(一週間ほどの幅しかなく、毎年開花は前後するとのこと)、天候にも恵まれてこの上なくラッキーな1日でした。

TERRE DE LINが公開しているプレゼンテーション画像です

Presentation Terre de Lin (English version)

一方、下の画像はベルギーリネンの製造工程を説明したものです。基本的に同じなので、参考までに

How Linen Is Made

おまけ:帰りはモネ由来でルーアンの街へ

モネの絵にしばしば描かれるルーアン大聖堂を訪れました。壮大なゴシック様式の青銅と、退避するかのように、木と漆喰で作られた一見アルザスを思わせるような街並みが印象的でした。

ルーアン大聖堂 修復中なのがちょっと残念
ルーアンの街並み
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