リネンの良し悪しは80%原料で決まる
天然素材の良し悪しは、まず原料で決まります。原料が悪かったら良い製品はできません。これはリネン麻だけにかかわらず、全ての天然素材にいえることです。そこが大量生産できる合成繊維との大きな違いです。
ノルマンディーのリネン農場を訪れた際にも、リネンの糸は10段階のグレードに分けられるのだと聞きました。リネンの種子は単一でなく、品種改良によって10数種類の品種があり、それぞれに特性がこのなります。100番手や80番手の質の高いリネン糸を作るには、細くて良質なトップグレードのフラックス原料が必要なのです。
残りの良し悪しは真面目に作るかどうかによる
スカッチングされて得られた原料のフラックスを、ハックリング(梳く)する過程で、長繊維(1亜)・短繊維(2亜)に大きく分けます。ハードマンズリネンは原則長繊維(1亜)原料を100%使用することとなっています。一般的にこの工程をふむと40%の原料は短繊維としてロスしますので、仮に1.0トンの原料を投入しても0.6トンの糸しかできないことになります。
ハードマンズは、この長繊維のみで糸を紡績します。それ故に、毛羽も少なく高品質なのです。
一般的に出回っている安価なリネンはこのロスする原料を再度リターンして水増しします。この工程は一番うそのつけない工程ですのでまず工場見学で見ることができません。もしわかる人がみたら一発でバレます。もしくはロットの違う安い別の原料をスライバーを作る工程でミックスします。
こうしてできた紡績前の粗紡糸はマーブル状の生成糸になります。この時点で紡績すると混ぜ物の糸ということがバレてしまうので、粗紡糸の段階で漂泊して真っ白にします。紡績後はきれいな晒糸になっているのでもうわかりません。
ハードマンズリネンは長繊維のみを100%使用していますので、コスト面では贅沢に原料を使用しているので高くなってしまいますが、このおかげで毛羽立ちの少ない光沢のある糸が生まれるのです。