亜麻色の髪の乙女の亜麻色とは?
ドビュッシーや、ヴィレッジシンガーズの曲名に出てくる「亜麻色の髪の乙女」。言葉だけで聞いたイメージは柔らかな金髪という感じでした。ネットでググると「和名の亜麻色では黄色がかった淡い茶色を表し、西洋では明るめの金髪のことを「亜麻色」の髪といい、灰色も少し入ったようなグレージュのことを「亜麻色」ということもあるなど、「亜麻色」と呼ばれるカラーは、実は幅広くあるのです。」とあります。
リネンを学ぶようになってから、亜麻(リネン)色はフラックスの生成色=シルバーグレーを亜麻色というのだと理解をして、「ああ、亜麻色の髪というのはシルバーグレーなんだな」と思っていました。
昔のリネン色はシャンパンゴールドだった
アイリッシュリネンに関することを探していたら、同じ滋賀県の林与さんが「本当のアイリッシュリネンはシャンパンゴールド色だった」と書いてらっしゃって、現在のシルバーグレーともいえるリネンの生成色と昔の色はなぜ違うのだろう?と疑問に思っていました。それならばと、安直にも100番手のリネン生地をシャンパンゴールド色に染めてみたりしたのです。
左上は晒しの白色、右下が生成(フラックス)色で、中央はシャンパンゴールドに染めた生地です。染めてしまうと、微妙な濃淡は出てこなくなりますね。これはこれで悪くありません。
シャンパンゴールド色はウォーターレッティングによるものと判明
たまたま帝国繊維さんのページでエジプト産フラックスの紹介がなされていました。
ヨーロッパ(主にフランス)のリネン畑では、6月頃花が咲いて、7月に実がなった後畑から引き抜いて、そのまま畑に寝かせます。これをレッティングといいますが、この畑に寝かすレッティングをデューレッティング(Dew Retting)というそうです。
このまま寝かしてから、ロール状に撒いておきます。
この方法だと、シルバーグレー色になるということですが、エジプトのフラックスは水の中に浸けて醗酵を促すウォーターレッティング(Water Retting)が主流とのこと。この方法だと、フラックスはきれいなシャンパンゴールド色になるそうです。
かつてはヨーロッパでも水の中でレッティングをしていたといわれますから、昔のハードマンズの糸がシャンパンゴールド色をしていたのは、アイルランドの畑から得られたフラックスをウォーターレッティングで処理をして、紡績していたからなのでしょう。
このYouTubeの動画からはウォーターレッテイングの様子がわかります。
Herdmans社のSiom Mills工場の側にはモーン川という川がありました。動力を取るとともに、ウォーターレッティングを行なっていたのかもしれません。
ドビュッシーの「亜麻色の髪の乙女」が作曲された当時はウォーターレッティングが主流だったということなので、「亜麻色」=淡い金髪だったのでしょう。
エジプトのフラックスを使うとシャンパンゴールド色になる!?
ウォーターレッティングを行なっているのは唯一エジプトだけということですから、エジプトのフラックスを原料として紡績すると昔のような色合いのリネン布ができるのでしょうか?
興味が湧いてきましたね。