なぜ麻は日本の夏に適した素材なのか?

よもやま話

熱を逃がし、早く乾くので日本の夏に最適な麻

熱伝導性が良く、熱を逃がしてくれる

麻は熱伝導性が高いため、熱を素早く逃がします。最近増えてきた再生セルロース繊維(テンセル・モダール・竹繊維等)が冷やっとするのもレーヨンと同じ傾向にあるからです。

素材 熱伝導率 備考
ポリエステル 0.20? 異論あり
羊毛(ウール) 0.37  
絹(シルク) 0.44  
綿 0.54  
レーヨン 0.58  
麻(リネン・ラミー) 0.63  

速乾性-早く乾きやすい

一般に綿のような植物性天然素材は、ウールなどの動物性天然素材に比べると水分の発散力が苦手ですが、麻は乾くのも早いために、さらっとした触感が得られ、乾く際には気化熱を奪うために、温度の上昇が抑えられます。湿度の高い日本の風土には適した素材です。このため、日本では古来よりラミー(苧麻)やヘンプ(大麻)が使われてきました。

ラミーとリネン どちらが涼しい?

真夏の涼しさでいえば生地にシャリ感のあるラミーの方に軍配が上がります。日本には近江ちぢみ、小千谷ちぢみと呼ばれる麻に皺をつける伝統的な加工方法がありますが、これは皮膚との接触面積を少なくして熱のこもりを避け、空気に触れる量を増やして乾かしやすくするものです。

現状では、近江ちぢみのラミー生地が夏は最も涼しく使うことができます。

リネンは特に洗濯を繰り返していくと柔らかくなる傾向がラミーより強いために、涼感という点では劣ります。同じリネンでも、太番手の生地の方が涼しく感じます。

冬でも快適な細番手のリネン

アイリッシュリネン100

一般に涼しいという麻の特徴から、冬には適していないと思われています。特にラミー(苧麻)は生地自体にシャリ感があるため、冬には適しません。一方、リネン(亜麻)は60番手以上の細番手であれば、個人差がありますが冬も快適に使えます。

冷え性の方には向かないでしょう。一方、暑がりで発汗が多い人は綿と比べてさらっとしているので、冬でも意外に快適です。

もちろんウールや起毛した綿のように接触温感はありません。また、40番手以下の厚みのあるリネンは熱を奪ってしまいます。しかし、細番手のリネンは、身体の熱を素早く布団に伝えることができます。

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